イギリスでは、17世紀から18世紀にかけて銀製品が流行し、貴族や上流階級の人々が日常的に使っていました。当時の銀製品は、豪華な装飾や職人技が随所に感じられるものばかりで、今でも美術品として高く評価されています。アンティークの銀製品には、それぞれの時代の流行や技術が反映されており、製品を見るだけでその時代の空気を感じられるのが魅力です。

イギリスの銀製品には「ホールマーク」と呼ばれる刻印があり、これがその製品の情報や価値を示す手がかりになっています。ホールマークの基本的な要素を知っておくと、銀製品の魅力が一層引き立ちますよ。

メーカーズマーク（Maker’s Mark）
製作者を示す刻印で、多くはイニシャルで表示されます。歴史的な工房や職人の印が刻まれていると、それだけで特別な価値を持つこともあります。

タウンマーク（Town Mark）
製品がどの都市で作られたかを示す印です。たとえば、ロンドン製の銀製品には「ヒョウの頭」、バーミンガム製には「錨」が使われています。都市によって異なる印があり、それを知るのも楽しいポイントです。

ライオンパサント（Lion Passant）
銀の純度が92.5%以上であることを示すシンボルで、イギリス製の純銀である証として刻まれています。品質を保証する印として、歴史ある銀製品には欠かせません。

デイトレター（Date Letter）
製造年を示すアルファベットで、その年の製品に特定の文字が割り当てられています。アルファベットと書体で年代が分かるようになっており、製品の年齢を知る手がかりになります。

アッセイオフィスマーク（Assay Office Mark）
銀製品の純度を確認する検査所での証明刻印です。ロンドンやバーミンガムなど、アッセイオフィスと呼ばれる場所で検査が行われ、純銀の証として刻印が押されています。

これらの刻印を見れば、製品が作られた場所や時代、さらには職人の思いや技術を感じ取ることができるのです。

イギリスの銀製アンティークには、たくさんの種類があり、それぞれに独自の用途や歴史があります。ここでは、代表的なアイテムをご紹介します。

カトラリー類：ナイフやフォーク、スプーンなどがあり、特別なディナーやお祝いの席で使われることが多かったものです。シンプルなものから豪華な装飾のものまで多様です。

ティーセット：ティーポットやシュガーボウルなど、紅茶文化が花開いたイギリスでは必需品でした。豪華なデザインが多く、セットで集めるとティータイムの雰囲気がぐっと高まります。

ジュエリーや装飾品：リングやペンダントなど、小物類も銀製で作られました。精巧なデザインや繊細な細工が施されており、ファッションアイテムとしても楽しめます。

銀製のアンティーク品は、ただの美しいインテリアとしてだけでなく、過去の時代の暮らしや文化に触れることができるアイテムです。刻印を読み解くことで、その銀製品の持つ物語が見えてくるかもしれません。そして、手に取るたびに少しずつ時代の流れや職人の技を感じられるのが、アンティークの素晴らしさです。

この画像は私が持っている銀製の皿なのですが中央に少し薄くなってしまっておりますが
"PRESENTED ALONG WITH SILVER TEA SERVICE AND PURSE OF SOVEREIGNS TO DR & MRS MACKENZIE, BY A FEW FRIENDS ON THE OCCASION OF THEIR LEAVING TAIN MAY 1896"
と書かれております。

これは当時、王宮の友人が旅立つ際に贈られたお品物だと分かります。

このようにイギリスの銀製品には誰が何のために作られた製品なのか刻印されているアイテムも多く非常に面白いです。
当時の様子を想像するとタイムスリップしている感覚になります。